希望はしっかり伝える
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ロンドンの大道芸人は、芸のレベルもとても高いのだけど、多くの人を集めるプロたちは、チップを集めることもプロである。
持ち芸を披露し、観客も参加させて徐々に盛り上げる。そしてパフォーマンスの終点を予告していく。「最後はハイライトとしてこれをやりますよ」と予告しながら観客の期待を煽っていく。
そしてうまいのは、そのハイライトの直前に一席ぶつのだ。「私はこれを生活をしているプロなんです。楽しんで貰えたなら、必ずチップを置いていってください。この間アメリカで同じ様に芸を披露したら、終わったと思ったらチップを払わずに立ち去る人が多くいて悲しかったです。ここはロンドン、皆さんはそんなことはないでしょうね。皆さん恥ずかしがらずに、正直に幾らでも良いのでチップを置いていってくださると大変嬉しいです。」
で、最後の大芸を披露する。そうすると殆どの人が帽子にチップを入れにいく。楽しんだからチップを払うのが正直者がすることだという「世論」をしっかり作る。これによっておそらく100人以上が幾ばくかのコインを入れる。一人100円でも、1万円程の収入になる。
こういうのを見ていると、大事なのは提供するサービスの質もさることながら、その「対価」をしっかり伝えることだと思う。人は悪気はなくても、対価を具体的に要求されないと「そんなものか」と思って払わないものだ。親切にしてもらってそれを「お金で返す」ということに対して恥ずかしさもあるのかも知れないし、「知らない振りをする」面もあるのかも知れない。
仕事でも同じことである。企業として活動している以上、顧客に対するサービスは常に何らかの対価を伴わなければ継続出来ない。言ってしまっては身も蓋もないかも知れないが、顧客に親切にするのは、すぐにではないにせよその顧客から得られる収益を期待するからだ。
だけど顧客はすぐにそれに対して対価、注文をくれるわけではない。だから少なくとも営業担当者ははっきりと、「このサービスを提供させて貰いたいと思います。でもサービスを提供したら、具体的に注文を頂けると大変有り難いと思います。私は売上を上げることで会社から給与を貰っています。注文を貰えないと私のサービスは継続しないのです。」とはっきりと分かって貰わないといけない。
営業担当は「人が良い」だけでは通用しない。しっかりとこちらの要望も伝え、でも十分メリットを感じて貰って具体的に数字も上げていく担当者でなければならないと思う。
大道芸人からも経営は学べる。いつも好奇心を持って、学んだことを経営に活かしていきたいと思います。