社長ブログ

社長フィロソフィー日記

スモールスタート

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製品開発などのプロジェクトにおいては、予算が少なく締め切りが早い、つまり「スモールスタート」が成功し易いというのが一つの法則である。
プロジェクト予算が多ければ、色んな要素を詰め込める。仕様を上げれる、あれもこれも機能を盛り込める、十分に経費を使って立派なカタログ、専用ウェブサイト、その他広告戦略を展開できる、つまりあれもこれも出来てしまう。締め切りのない仕事はないけれど、締め切りが余りに先であったり、「なる早だけど締め切りのない」プロジェクトだと、色んな可能性を検討できるし、打ち合わせにしても、「顔合わせ」、「会議のための下打ち合わせ」、「担当グループ会議」、「グループ長会議」、「月例定例会議」とか、様々なレベルとメンバーの組み合わせで、一体誰が責任者で物事を決めているのか分からないほど、打ち合わせばかりが延々と続く。プロジェクトに関わる要素が多ければ多いほど、細部に渡って完璧になるまで時間が掛かる。カタログの表現とか誤字とか、様々な利害関係者の契約書の準備とかやりとりに時間がやたらに掛かる。「待ち」の時間や会議の時間設定にも時間が掛かるし、良い?タイミングで不測の事態も生じることが普通だから、ますます製品完成が遅れることになる。
結果として、何もかも詰め込んだ、やたら手間暇かけた(コストも高くついた)製品が長い時間を掛けて出来上がり、でも出来た頃には事情も市場環境も変わっていて、なんだかボンヤリとした戦略の下、そういう製品はまず売れない、というのが典型的な展開である(当初の責任者もとうの昔に異動してしまったりしている)。
それに対して予算も少なくて、早く製品化する必要がある場合はどうなるか。予算がないから出来ることは限られている。立派なカタログは出来ないから、パワポのプレゼンで用を済ませるしかない。仕様も最低限のものだけ、ややこしいことはない、ストレートフォワードな内容になっている。やること、やれることがあまりないから、最低限のミスは修正してすぐにデモ機でも完成させて、取りあえずは見込み顧客のところに持っていく。スモールスタートということだ。顧客のところに持っていけば、そのまま採用ということはない。ああだこうだ言われて、それを修正しまた持っていく。その内、デモ機を売ってくれとなって、「製品」として取りあえずは価格を決めて一台、二台と売れていく。その度に顧客から、ああしてくれこうしてくれと、使ってみて初めて分かる点を指摘され、またそれを修正してバージョンを重ねていく。そのうち完成度が上がり、売れる場合には本当に売れる製品として仕上がっていくというのが、典型的な成功ストーリーだ。
プロジェクトを成功させるのに大切なことは、なるべく早くシンプルな形で「タンジブル(=手で触れられる)」な具体的なものを作り、取りあえず早く顧客に使い勝手を試してもらう事だ。タンジブルなものなしに顧客にヒアリングしても批評のしようがない。具体的なものがあって、スウィッチの位置とか押し具合とか、大きさ・重さなどの感触、ウェブの使い易さ(見やすさ、動線のスムーズさ)、サービスの快適さ、見た目の良さなどが分かる。製品の本質的な良さがあれば、カタログがなくても機能が極めてシンプルでも、筋が良いものは良いと分かるものだと思う。
当社でも、なるべく早くデモ機を出せ、サンプルを作れ、取りあえず見込み顧客に見せてみて、そこから分かることを盛り込んで、バージョンを重ねていけと言っている。そのためには責任者がしっかり最低限のことを行って、自分が責任者だと自覚して意見を聞きにいかねばならない。自分がう良いと思っても他人は違う意見を持つだろうし、早く「違う意見」を言ってもらうこと自体が大事なのだ。最近当社も組織が大きくて?予算も使える様になった(なってしまった)からか、どうもスピード感が失われている気がする。タンジブルなものを出さねば、仕事をしたことにならない。それくらい思って、スモールスタートの手法を思い出して欲しいなと思います。 

情報共有と人間の能力

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当社は自社開発のIT日報などのツールを用いて、社内外の情報共有に努めている。社員間に限らず、ビジネスパートナーとの情報共有の重要性はこの20年来、機会があるごとに言い続けている。何故なら、それほど重要で、一番効果的な経営戦略だと常に痛感するからだ。
人間の能力には特徴があって、物理的な制約はかなり大きい反面、精神的な(頭脳の)制約はほとんどないことだ。
このところの酷暑では、なかなか肉体労働は続かない。集中力はすぐに切れてしまう。移動するだけで疲れる、寝不足もダメだし、栄養過多、運動不足は中長期的にパフォーマンスの低下を招いてしまう。これらは人間が生物である限り、仕方のない制約条件である。
これに対して、頭脳はいくら速く回転させても疲れない。もちろん時間の制約はあるけれど、1日に数時間、おそらく8時間くらいは「頭だけ」ならフル回転させることは可能だ。その時間のパフォーマンスもほとんどなんの制約も受けない。雑踏で千人くらい人が集まっていたとしても、その中の家族や知人は瞬時に見つけられるのが人間の「超能力」だ。本は飛ばし読みが出来るし、「ながら」で聴いている情報も自分に有益なものは無意識のうちに気がつく。仕事も何本も掛け持ちをしながら「並行処理」を行い、一瞬一瞬で全く異なることを切り替えながら処理できる能力も備わっている。
この人間の頭脳がフル回転する前提条件は、「情報が自動で与えられている、少なくとも簡単に取りに行ける状況になっていること」である。沢山の情報の中から有益な関係のある情報を瞬時に読み取って自分の頭を使っていくのは出来るけれど、そもそもその情報にアクセス出来なければ、頭の使い様もない。
従って、「生産性の高い組織」とは、「必要な全ての情報が与えられ、自分の頭で考え、また発信できる組織」であると言える。
ここまで言ってもシステムを使い易い様に改善継続しても、当社でも日報をなかなか書かない、あまり読まない社員もいるにはいるのだが、それは限られた情報で頭を中途半端に使い、また発信しないことで他の社員の頭脳を活用できず、自分一人分(以下)の仕事しか出来ていないことになる。だから(肉体的に)多少頑張っていても、組織としては「半人前」の貢献しか出来ていないとも言える。組織は全体で一つの「脳」を持つ。一つ一つの脳細胞(=社員)が発信・受信しなければ、脳の本体から外れた「かさぶた」みたいな細胞になってしまう。
理想は、組織の全てのメンバーの活動日報をお互いに、読み合い、議論し合うことだ。「時間がない」というのはそれが出来ない理由の様だが、他のメンバーが行った活動報告(結構詳細)を、1秒で良いから「チラ見」することで、有益な情報は自分のアンテナには引っ掛かってくるし、また自分もその様に発信しなければならない。
情報共有と組織の生産性、これは不可分一体のものだと思うのだけど、本当にそうなのだから徹底していきたいと思います。

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