社長ブログ

社長フィロソフィー日記

やること、やらないこと。

カテゴリー: 経営日記

新年開始に当たって、当社では毎年経営会議なるものを開いている。夕方からは新年互礼会で、主に仕入れ先メーカーや大学の先生、地元でお世話になっている人たちを招いてのパーティーでそのダイジェスト版をご披露している。
今年冒頭にプレゼンをしたのは、当社が「やること」と「やらないこと」の明示だ。
「やらないこと」の方は明確である。当社は機器メーカーとして設立され、ほんの10年前までは機器製造販売比率が5割は超えていたと思う。15年前なら8割位もあっただろうか。それが現在は1割にも満たないと思う。この10年でメーカーから専門商社へと変化してきており、「やらないこと」の一番目は「製造業をやらない」ということだ。勿論当社の特徴である商品開発はやる。しかし工場や生産設備を持って製造はしないということである。日本には設計図さえあれば幾らでも作ってくれるメーカーがあって、当社の規模でそんなところまで手を出す余裕がない。だから製造はメーカーに任せて当社はいわゆる「商品開発・企画」に特化することである。
二番目は「サービス業はやらない」ということだ。散髪屋さんや弁護士でも、結局は時間幾らの商売である。1時間分働いて5000円とか数万円とかの対価をいただく。こういう商売は当社には向いていない。サービス業の場合は売上を二倍増やそうとすると単価が変わらなければ労働時間を二倍にしなければならない。いわゆる生産性を上げることが困難で、規模の拡大とともに社員が増えてきて、どうしても経営が難しくなる。これは好みにもよるが少数精鋭でどんどん生産性を上げる方が選ぶか、社員も増やして規模を拡大していくかの選択では僕は前者を選びたい。
三番目は「在庫は持たない」ということだ。モノを作らないなら基本的には在庫は要らず、売れた分だけメーカーから仕入れれば良い。実際にはそんな自社だけに都合良くはいかず、商品を扱うのに最低の仕入れ金額や輸入商品など、仕方ないものだけ持つことになる。逆に言うと在庫は戦略投資であるべきで、生産設備を持つ代わりに投資として商品を持つ、開発費の一環としてある程度の在庫を持つということだけにしたい。
「やること」の筆頭は勿論、「利益率の高い仕事をする」ということだ。当社の営業目標は売上ではなく粗利額で数値管理をしている。結局経費も給料も粗利からしか出ない訳だから、売上を見ても仕方なくて粗利を見ないといけないのは当然のことである。利益率が高いということはそれだけ創造性・独自性が高いということで、他にはない何かを提供することで初めて得られる。知恵を絞って他社にはないモノ、それでも顧客が喜んで購入してくれる商品を開発して初めて利益率は高くなる。
製造業をやらずサービス業もやらず、かと言って右から左へ商品を流す商社の利益率は低いとすれば、当社はいったい何をやるのか。当社はB2Bビジネスだから、要するに「当社が提供する仕組みを使えば儲かる」という状況を作り出すことである。いわゆる「仕組みビジネス」、流行の言葉で言えば「プラットフォーム戦略」ということになるのだが、業界の中で必要とされていて誰も提供していない仕組みを構築し、そこに多くの企業が関わってくれれば当社にとってもビジネスチャンスは増えてくる。
まあ具体的にはあまり書けないのだけど、沢山のプロジェクトが並行して走っているのは確かである。鍵になるのは「皆が幸せになる仕組みか」、独自性があるか、世の中に通用する価値あるものであるか、ということなどであろう。
今年も始まったばかりだけど、いきなりトップスピートで頑張りたいと思います。年度始めは緊張しますね。

新聞に冷や冷やしない

カテゴリー: 経営日記

当社は業務用防虫資材販売というかなりニッチな市場で活動していて、この市場では自社のことながら結構頑張っていると思う。 当然世の中の動きにはどんな経済活動も影響を受けるとは思うけど、当社はまだまだ小規模で、マクロ経済の影響など日々の努力の効果からすると余り関係ないように思う。世の中は常に変わっているから、自社も常に環境に適応しかつその変化をチャンスとして事業展開していけば良い(だけの)ことである。 それでも企業経営者として毎日情報収集し新聞なども丹念に読むのだけど、新聞を広げるときネット閲覧する時など、何か面白そうな話はないかなといつも思っている。あの企業がこういう戦略でこういう成績だった、国の方針がこう変わっていくらしい、民主党もダラシないなあなんか思うのだけど、新聞記事に一喜一憂することはない。 これが大企業だと、長年かけて開発した製品や事業がライバル企業によって先を越されたり、政策変更で努力が無駄になったり逆にチャンスになったりする。要するにメインストリームを歩いていて、一般消費者の動向、すなわちマクロ経済に影響されざる得ないほど規模が大きいということである。人口が減るときに車は売れていかないだろうし、子どもが減れば子供市場は競争が激しくなる。そして同じ業界に競合も多く、魅力的な市場であれば大手が新規参入してくる。 だからこういう企業は新聞を広げるとき冷や冷やしているのだろう。面白そうな記事も楽しみだが、一方で自社の運命を左右する大きな出来事が起こっているかも知れない。 当社の戦略は、ニッチ市場を極めかつメインストリーム市場はニッチ的な攻め方をすることだ。中小企業は中小企業なりの戦略があるから、それは間違っても大企業と対抗、競合するものであってはならない。 新聞くらい朝からゆっくりと安心して読みたい。「冷や冷やしない新聞」ってのが中小企業戦略と思うのだが、どうだろうか。

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