先週に参加した渋澤渡米団では,余りにも多くのことを学んだので,思い出すように一つずつ書きとめておこうと思う.
NY,ワシントンDCを経て最後に訪問したのがシアトルだった.そこで「フェアスタート」という社会企業と呼ばれる会社と出会うことができた.
「社会企業」とは,一般の会社のように民間の株式会社の形を採るが,利益を目的にするのではなく,公益性の強い目的を持つものである.病院や学校も一種の社会企業だ.今回訪問したフェアスタートは,ホームレスの再雇用トレーニング機関として,実際にレストランを経営する中で,実地訓練を行おうとするものである.
レストランはシアトルの街中,それも一等地にある立派でおしゃれなビルで,なんと八億円もの寄付を集めてビルごと改装したらしい.シアトルはこういった寄付や社会貢献財団が多く存在し,中でも一番有名なのがあのビルゲイツが設立したゲイツ財団である.フェアスタートも最初の一億円はこの財団から寄付されている.
実際のプログラムは14週間で,ホームレスの人たちは面接を経て訓練生として採用される.給料は支払われないが,宿泊場所,食事,交通費は支給され,一応は最低限の生活が送れるようになる.皆素人だが,最初は包丁の使い方などの基本コース,そして徐々に十九クラスへとプログラムが組まれている.そして卒業すれば,8割方の人がレストランなどの飲食店に採用される実績がある.
確かに面接で精神的に問題があったりすれば落とされるし,またプログラムの途中で脱落してしまう人も半分近くいるらしい.それでもホームレスの再訓練に焦点を置き,再雇用を促進する民間企業が存在することは素晴らしいことだ.また月に何回か,街の有名シェフをゲストシェフの招いての特別夕食会行ったり,出前サービスや私的パーティーなど活発にイベントを企画している.
この社会企業の収入源は,半分はこうしたレストランとしての売上,残りの半分は他の財団や企業,個人からの寄付である.勿論,多くの人を訓練しモノにならない人も多いから運営は非効率にならざる得ないけれど,何はともあれ企業として存続しているのはとても凄いことだと思う.
今回アメリカで訪問したのは,多くは「社会的ミッションを持って,創造的なアプローチでそれを実現しようとしている組織」である.このフェアスタートもしかり(因みに,フェアスタートとは,「公平なスタート」という意味で,単に食べ物をあげるのではなく,食べ物を稼ぐための手段を与えて公平な人生の再スタートを可能にするという意味だ),他のNPOや民間企業もそうである.
当社も正面から社会的ミッションを掲げて,果敢にそれに挑戦していきたいと思う.コンk内この渡米団に参加して本当に良かったと思います.