社長ブログ

社長フィロソフィー日記

渋澤渡米団100周年記念事業

カテゴリー: 日常

11月15日から8日間の日程で,またアメリカ出張に行ってきた.今回は業界関係の仕事ではなく,公募でメンバーに選んで貰った渋澤渡米団100周年記念事業の一環である.
 
訪問地はニューヨーク・ワシントンDC・シアトルを各2泊ずつする日程で,移動日も含めて6日間で20もの会合をこなす強行日程で,参加者は僕と同じくらいの40代の経営者が8人(団長の渋澤健氏・渋澤栄一から数えて5代目を含む).
 
行く前はこんな業種もばらばらで,訪問先も大企業経営者(IBMの副社長,COACHの会長・社長)や大富豪が作った財団(ロックフェラー財団),またNGOや社会企業家,日本領事館や日米協会などの公共機関などを訪問した.行く前は果たして「共通の興味」があるのか,相手に対して自分が出来る貢献があるのか,または自分にとっても「具体的な成果」が挙げられるのか若干不安だったけれど,結果的には本当に多くの,しかも決定的に重要なことを学べたと思う.
 
一度の多くのことを書けないので追々アップするつもりだが,一番大切なことだけを書いておこうと思う.
 
会社の存在意義は,「社会ニーズに対して創造的なアプローチで解決策を提案すること」,これしかない.社会ニーズに応えないもの,自社が自分が儲けるためだけに存在しても意味がない.世の中には様々な社会ニーズがある.困っている人もいればもっと快適に幸せになりたい人もいる.そういうニーズに応えようとすることが何よりも大事だ.
 
そしてその解決方法は創造的でないといけない.創造的でない解決方法は他の誰かが提供するものだ.わざわざ一回しかない人生を使って,他人と同じような方法,しかも自社がやらなくても誰かがやるようなことで時間を無駄にすることはない.そして創造的な方法で解決策を提供するからこそ,結果的に利益率が高くなり企業としても成功することになる.
 
社会ニーズ×創造的解決策=企業成功+やりがい
 
この方程式が今回発見したことの中で自分にとって一番重要だと思う.

高粗利経営

カテゴリー: 経営日記

中小企業の取れる経営戦略は実は限られていて,僕は究極的には「高付加価値戦略」しかないと思う.

定義からして中小企業は規模が小さい.だから販売力が直結する購買力もないし,要するに価格で大手企業には勝てない.そして同規模企業との競争も,低価格をポイントにしてしまうと,「どちらが貧乏により辛抱できるか」 みたいなしんどい状況に陥ってしまう.

だからこそ高付加価値戦略(高粗利戦略と言い換えても良い)を追求するべきなのだが,そのメリットはまさしく中小企業が求めているものだ.

(1)粗利率が高いということは,同じ社員数,同じ経費額だとすると企業の収益性が高いということだ.その結果,財務状況が安定する,つまりつぶれにくくなる.

(2)収益性が高いということは,損益分岐点が低いということで,売上が減っても赤字が出にくい.つまりつぶれにくくなる.

(3)収益性が高ければ給与水準も高めに設定でき,中小企業の弱点である人材力を補い易くなる.

(4)収益性が高ければ,将来に向けた投資がし易くなる.

 まあ「儲かっていることのメリット」が沢山あるのは当たり前だが,その当たり前のメリットを真剣に追求しようとしている会社は少ないようにも思える.

同業者で国際比較しても,なぜか日本企業の利益率は低い.欧米には売上1000億円以上で,かつ税引き前利益率20%とか30%の会社がごろごろしているが,日本だと大企業でそれだけの利益率を確保している会社はごくわずかだ.また中小規模でも,税引き前利益が10%というのは当然で,考えてみれば国債の利率が5%とかあるのに,わざわざ経営までして,会社の総資産利益率がそれ以下というのはずいぶん効率が悪いものだ. 

では粗利率を上げるにはどうしたら良いかだが,これも限られた方法しかない.第一に強い競合が増えにくいニッチな事業分野・製品を狙うべきである.儲かっている知られた市場には強者が集まる.大手企業が入ってきたらそれこそ競争にならない.

第二に,付加価値が高いだけの理由がなければならない.それは勿論商品力,他には見つからない品質や機能の良い商品を提供すること(でもそこそこの市場規模があると,必ず「良いものを安く」提供する会社が現れる), 地理的に近い市場を相手にしていて,デリバリーに優れているとか(これも輸送業の発展との競争である)など,「高い利益率を正当化するだけの理由」がなければならない.

でも一番大切だと思うのは,やはり「必ず高付加価値経営をするんだ」という経営者の意思ではないかと思う.あの武田薬品だって,経常利益率30%,額にして3000億円も儲けていた時に「収益率が悪すぎる」といって,低粗利分野を売却したりリストラすら行った.またあるコンサルティング会社は,経常利益率が20%を切りそうになって,責任を取って役員報酬を減額したとも言われる. 

「経営は意思である」と言われるけれど,やはりそうなんだよなあと思う.経営者がしっかりした意思を持って,粗利率何%は最低確保とか,経常利益率は最低10%と決めることで,それならそのためにはこうしないと,という方策が考えだされるものだ.

当社もまだまだだが,少しずつ利益率も上がってきた.今年はもう少し,そして来年からも高付加価値経営の実現に向けて頑張っていこうと思います. 

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