正しい時に正しい場所に.
カテゴリー: 経営日記
一昨年のリーマンショック後の景気の冷え込みで,にっちもさっちもいかなくなっている企業が沢山ある.先週に来社してもらった,僕の銀行時代の同期から聞いたのだけど,親の後を継いだりしたものの,いくら頑張っても非常に厳しい状況の会社をよく見聞きすると言っていた.
特に今年は自動車関係とか住宅関係,それに設備投資に関する業界が非常に悪い.売上が前年比7割減とかになったら,通常の努力では赤字転落を避けることは出来ないだろう.
ではそのような会社の経営者が無能かと言えばそんなことはない.頭も良くて努力もして,経費もすごく削っているような会社でも駄目なものは駄目なのだ.
一方で時流に乗って,こういう景気下でも非常に調子のよい会社も沢山ある.その様な会社の経営者がでは優秀かと言うとそうでもないことも多い.赤字会社の会社の経営者が優秀でなくて,成長企業の経営者が優秀だとはその人個人を見ていると全然そんなことは言えないと思う.
こういう事例をみると,「正しい時に正しい場所に居る」ことの大切さが分かる.経営者個人が優秀かどうかは余り関係なく,正しいタイミングで成長事業に参入していることが,企業の成長に繋がっているのだと思う.
勿論,時流に「乗る」ためには,「乗る」だけの資格,すなわち競合企業と比べて優れた箇所がなければならない.でも向かい風に歯を食いしばっているのと,追い風を受けて努力するのとは全然効率が違う.
問題は何が次の「時流」かが分からないことだ.でも少なくとも毎日毎日同じ業務を漫然とやるのではなく,ある種の大局観を持って創意工夫を加えていくべきだと思う.同じことをやるのでも,環境問題のトレンドを考えて廃棄物を出さないやり方を考えるとか,高齢化のトレンドを考えて「使い易さ」を改良したり,切り口は幾らでもある.
当社も目の前の売り上げだけを考えてはいけない.長期的に「正しい時に正しい場所」に居るためには,自社の今のポジショニングを考えて,それを時流に合うように徐々に変えていかねばならない.
そうやって方向性を変えていくことが,実は急に不景気になった時に慌てない最良の方法だと思います.