組織を動かす
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日経ビジネスを読んでいたら、先日更迭された長妻元厚労省大臣の談話が載っていた。曰く、「天下り問題、厚労省の隠蔽体質を変えようと思ってトップダウンで取り組んだが、一年という短い期間では結果が残せず、国民の期待にも応えることができなかった」というもの。この人、本当に間違っているなあと正直思った。天下り問題なんかは今の日本が抱える問題のほんの小さな問題でしかない。厚労省管轄の行政にしても、国民は要するに「将来老後は大丈夫か、社会保障はきちんとなされるのか」が興味であって、公務員をやり玉に挙げて溜飲を下げることは一時的には気が晴れる人は気が晴れるけれど、全然問題解決にはなっていない。それに厚労省役人は全く長妻大臣を歓迎せず、評価もすごく低かったと言うがそれもそのはずである。人間は自分たちの味方と見れば協力するけれど、敵(=既得権益を崩す)と見れば協力できないのも人間の心理である。組織を動かすには、組織の目的を理解しなければならない。僕が思うに、組織の目的(対内部)は、限られた個人の力ではできないこと、その人がしたいと思って(=夢)なかなか出来ないこと、組織が良くなるにはこうなれば良いなと思うこと、こういう事柄を見つけて(=夢の発見)、障害を取り除き後押しして実現できるのが組織である。一人一人の社員は本当は良いアイデアを持っている。誰だって自分の夢ややりたいことがあるし、でも独りでは出来ないのが人間だ。だから組織を作って、会社の存在意義との接点を見いだして「良き自分」を実現出来るのが、「場としての会社」である。この時組織(=会社)は個人(=社員)の味方になるから、組織の発展に対して皆協力してくれることになる。厚労省の役人だって、元々はそして多分今も厚労行政を通じて社会を良くしたいと思っているはずだ。そして勿論組織の非効率性や改善点をアイデアとして心の中に持っているはずだ。これを発見して、組織の力で実現していくことこそ本当の仕事だと思う。天下り批判はあるけれど、官僚で優秀な人は実際多いから再就職を妨げる必要は全くない。また現役時代に残業代もなしで働いているのだから、定年後は恵まれた待遇が欲しいのも人情である。働くもの食うべからずの原則から言えば、法人税を払っていない赤字企業、既得権益で守られた民間企業の方がずっと無駄な額は多いはずだ。そう考えると些細とも思える官僚叩きをしてしまって、本来の厚労省の仕事(=厚労行政)には全く手を付けなかった彼の姿勢は問題だと思う。如何に社員に活躍してもらうか、それは罰を与えたり将来の不安を抱かせることではなく、一人一人の心の中にある「やりたい何か良いこと」を発見して、実現できる場を提供することだと思う。