伝わることが鍵
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何ごともそうだが、大きな目標であればそれだけ、一人の力では達成できない。組織や仕組みをしっかり作って皆の衆知や専門性、行動をまとめあげて目標を達成することができる。
多くの人たちがある目標に向かってベクトルが揃うためには、そもそもの目的、方向が明確であることが第一の条件である。だから誰にもわかり納得のいく会社・組織のビジョン、事業の目的、意義を明らかにするというのが最も重要だとはよく言われる(稲盛経営12箇条でも最初に来る)。
しかし次に重要なのに最も難しいのは、「各人が本当に分かる、そして行動する」 ということだと思う。頭では分かっているのだけど実際はできない、やってないというのは、本当に分かっていない、納得していない、腹に落ちていないことだと思う。本当に原始的で簡単なことでも、それが人間の行動になるには相当「本当に」分かっていないといけない。稲盛さんが再生したJALだって、頭では皆分かっていた、このままでは会社が倒産することが分かっていた、そのために何をやるべきかは皆が分かっていた、でも稲盛さんが皆の腹に落とすまでは誰も行動しなかったのが現実なのだ。利益をあげるための「売上を最大に、経費を最小に」という原則だって、小学生でも分かる原則である。足し算引き算が出来れば分かる原則なのに、普通は全くできていない。それが経営者が変わるだけで、同じ人たちが真面目に行動すれば、実質倒産した会社が数年で高収益企業に変わるのだから、「本当に分かって行動する」ことがいかに重要かは明らかであろう。
本当に分かる、本当に分からせることはとても難しい。同じことを何度も何ども言う、具体的な行動に落とし込む、率先垂範する、時間をとって勉強会をすることなど、どうやって組織の各人の潜在意識にまで刷り込むかが大事だ。伝え方、タイミング、相手の理解度、評価の仕方への反映など、ありとあらゆる方法で工夫し、しつこく諦めず、ベクトルを揃え、本当に分かって行動する組織を作り上げないといけない。
当社は比較的小規模組織で意思疎通もしやすいはずだ。日報システムなどにより、何が起こっているかどの方向に進んでいるかはオープンになっている。しかしオープンにして、言えば分かるだろうというのも経営者の甘えである。本当に分かってもらう努力を続けていかなければならないと思っています。