社長ブログ

社長フィロソフィー日記

不確定なことに対する耐性

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この間、友人の経営者と話していて、彼の会社で、地方の国立大学を卒業して新卒で入って三年経った社員が、なんと大手企業により良い条件で転職してしまうと嘆いていた。せっかく、必死の想いでリクルートして意気投合し、大阪の片田舎の中小企業に就職してもらい、三年の間心血を注いで育ててきた。その社員が、ちょっとしたボタンのかけ違いで転職サイトに登録し、もちろんネームバリューもある大手企業に良い条件で転職していく。これは中小企業の社長としてはやってられない、理不尽ことに思えるのだろう。
教訓は二つ。いくら中小企業で、意気投合して惚れ込んで貰って入社したとしても、数年経って家族も持とうかという年齢になると、やはり人材の市場価値を反映した給料を払わないとその人は残ってくれない。「分かって貰っているから」、「新人の頃から育ててきた恩があるはずだから」というのは、中小企業の経営者の「甘え」、「油断」であって、現実は大手企業はそうやって経験を積んだ、もともと能力がある若い人たちを常に狙っていると考えた方が良い。対抗策としては、現実的には「大手並の、少なくともその市場価値にあった待遇を提供する」しかない。育てれば育てるほど、市場価値が上がっていって待遇も上げないといけないのは矛盾なんだけど、潜在的な敵が常にその人材を狙っているのだから、好むと好まざると対抗して事前に待遇をよくしておくしかない。「タレントを巡る戦争」からは中小企業も逃れられないと覚悟すべきだ。
もう一つは、そうやって転職していく人も、「世の中は不確実性と思わぬ出来事」に溢れているを知らなすぎると思う。ちょっとした行き違い、自分は全く悪くないのに訳の分からぬ理由で物事がうまく進まないことなんて、むしろデファクトで当たり前のことだ。海外貧乏旅行をしていれば、否応無く経験するだろうが、予約は当てにならない、注文したものは大抵出てこない、待ち人は来ない、わざわざ訪れた場所は閉館日、バスは来ない、知り合った人は大抵詐欺師が「普通のこと」である。
「決められた通りにやりました、それでうまくいかなくても自分のせいではありません」というのは世間を知らな過ぎるし、国際競争力は全くない。受験勉強の弊害というのか、正解を書けば点数が貰えると思っているのがオメデタイ。
当社でも若干、「物事は理屈通りに動くはず」と思っている節がある。物事は常に理不尽である訳ではないけれど、実は様々な要素に依存していることは知っておくべきだと思う。いろんな人がいろんな動機に基づいて活動している。お金のこともあれば出世のこともある、趣味のこともあれば社会正義を追求する人たちも普通に存在する。一筋縄ではいかない「異種格闘技」、「事実は小説より奇なり」が現実の世の中である。だから仕事は面白くて、そのような様々な人たちや組織を組み合わせて、全ての参加者が幸せになる仕組みを作り出すのが醍醐味だと思う。
物事は時に理不尽、油断ならない、だからこそ面白いというタフな人材がこれから求められると思います。

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