風呂敷を広げる
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事業を伸ばしたいのに、「当社はこれだけしか提供できないです」というのはもったいないばかりか、顧客に対して誠実さに欠けるとさえ思う。確かに、現在自社が提供している製品やサービスは、「メリットを感じるなら買ってください、そうでなければ当社が売りたくても買って貰えませんよね」というものかも知れないが、顧客は本当は、「もっと提案してもらいたい、納得すれば是非買いたい」と考えているに違いないと思う。
例えば、自社の本業がスポーツジムの経営だとしよう。その場合、「当社はこの場所にこの様な施設を用意しています。月謝はいくらです。良ければ入会してください」というのが一般になされていることだと思う。
でもそれはとてももったいない。本来は、「当社は貴方の健康の増進を全部請け負います。そのためには、当社の施設を使ってもらうことはもちろん、健康診断データも共有して貰いたいし、医者のカウンセリングも受けて貰いたいし、月に一度、体組成計にも乗って貰いたい。そして解決策として、運動メニューであったり、サプリであったり、整体であったり、日々摂る食事であったり、できることを全て提供したいのです。なぜならそれが貴方のためだから。」と言わなければならない。
人との関わりにおいて、特に顧客との関わりにおいて、謙遜は美徳にならない。風呂敷を広げて、「当社にもっと任せてくれたら、もっと出来ます」と言えなければならないと思う。
当社の事例で言うと、メーカーが開発、販売している製品を、代理店として右から左に売っているだけでは顧客に対して、社会に対して誠実だとは言えない。当社が目指しているのは、顧客企業である害虫駆除サービス会社が、如何にして経営を伸ばすかであり、その結果として、社会がより衛生的で、また白蟻によって被害を受ける住宅を少なくするかが本来の姿である。そのためにはなんでもやる。売上に直接結びつかなくても、技術セミナーや経営セミナーをやったり、防蟻業界か社会からもっと認められるためのスキームを、(誰から頼まれた訳ではないけど)苦労して構築したりしている。これは、害虫駆除の未来は、当社が責任を持って構築していきます、世の中の一戸建て住宅の長期的な維持補修は、当社が責任を持って対応していきます、と言う大風呂敷を広げていると言うことだ。そして結果的にそれは、当社の事業領域を広げることにも繋がっている。
などと言いながら、風呂敷を畳むのに苦労している社員の皆さん、それはそれで面白いチャレンジだと思うので、今しばらくお付き合いください。