成功した社会主義国
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国税庁の「平成21年度民間給与実態統計調査」によると、
「平成 21 年中に民間の事業所が支払った給与の総額は 192 兆 4,742 億円で、源泉徴収された所得税額は 7 兆 5,706 億円となっている。なお、給与総額に占める税額の割合は 3.93%となっている。」
ということらしい。 給与所得には様々な控除項目があって低所得者層ほど税金負担率が低くなる。データに依れば、年間給与所得800万円以下の人が頭数で92%を占め給与総額で77%を占めるが、総税額に占める割合は39%である。一方で800万円超の人は頭数で8%給与総額で23%、そして総税額に占める割合は61%となっている。はい、8%の人が6割も税金を負担している。800万円超の人の中でもデータ最高の特に2500万円以上を見ると、頭数で0.2%、給与総額で2.3%を占めるのに過ぎないのに、総税額に占める割合はなんと15.3%である。
これをどう解釈するかだけど、言えるのは「日本の所得税率は平均にしてしまうととても低い(4%程度)、累進性が顕著で高所得者が税金の大部分を負担している(8%が6割)」ということだ。
これを「日本は成功者に対して厳しい、懲罰的ですらある」、「だからリスクを取って成功しようとしたり、頑張って所得を上げようとする人たちの意欲を削いでいる」という議論も出てくる。
法人税にしても赤字企業、または黒字でも累積損失がある会社は法人税を払わなくて良いから、7割の企業が法人税すらも払っていない。つまり日本は「稼いでいないものに優しい社会」 と言えると思う。
法人税も所得税も払っている者からすると不公平きわまりないとも思ってしまうが、「国の成り立ち」、「社会のあり方」を考えると色々と考えさせられる。経済だけでなくて「どういう社会が良いのか」と大きく考えると、日本は案外「成功した社会主義国」だと思えば納得もいく。
高所得者から低所得者に強制的に所得移転される結果、治安はそれほど悪くならない。飢えて死ぬこともなければ税金を払わなくても安全な街に住み、道路も水道も電気も公共料金で使える。救急車も消防車も無料で来てくれる。誘拐も少ない。
教育水準も高くて、成績が良ければ機会も広がる。政治的弾圧もあまりないし言論の自由もそれなりに保証されている。
それほど努力しなくても生きていけて、それなりに楽しかったりする。歴史も長いから文化も多様でお金がなくても精神的に豊かな生活を送ることも出来る。そして長生きだ。
これってまさしく社会主義が理想としてきたところだ。表向きは資本主義で実質は社会主義、これが日本の実態だと思う。表向きは社会主義、実質は剥き出しの資本主義の中国とは全く反対。
まあこういう社会でどう生きていくかは個人の考えによる。「資本主義だと思っていたのに話が違うじゃないか」と憤るのも良いし、「まあそうは言っても社会主義なんだから仕方ないじゃないの、お互い様だし」と納得するのも良し。要するにそういう社会だと思って生き方を決めるのが大事だ。
僕は勿論、社会主義下の(ボランティア?)資本主義的成功者を目指しますよ、自分を納得させてたくさん税金払いながら。