社長ブログ

社長フィロソフィー日記

最後の100メートル

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当社はIT技術などを活用しながら積極的に業務効率化を図っているが、効率化のするのはバックヤード、すなわち顧客からは見えない「事務的な部分」である。そして顧客と接する部分はあくまでアナログな人的な部分を残そうとしている。 百貨店の大丸が奥田社長の時に効率化を図ったが、これも裏の見えない部分を外注、システム化によって簡素化、コスト削減をした。その浮いた経費や人材で、顧客への接客サービスや提案に力を入れたのだ。見えない部分を効率化し、顧客との接点を充実させるという戦略である。 当社も全く同じである。当社でいうと、いわゆる間接部門には殆ど人がいない。この10年で売上が2、3倍に上がったけれど、業務人員は全く増えていない。社員の殆どが外に出てサポートや営業活動をしている状況だ。そして訪問数を増やしたり、積極的にセミナー活動なんかを行って、外向きの仕事は増える一方である。 先日社員と頼まれた資料をメールや郵送で送るとか送らないとかという話をした。効率から言うと、もちろん郵便などで送ってしまえば簡単だ。でもそれでは顧客の印象には残らないし、有難味も違う。やはり基本は担当者がわざわざその会社の依頼者に手渡しをして、かつ補足の説明もするべきなのだ。それでこそ当社の真剣味が伝わるし、郵便では得られない色んな情報収集や意見交換も可能になるのだ。 楽天の三木谷さんは、無名だった楽天に出店してもらおうと地方の商店街に出掛け、ドブ板営業をしていた。インターネットショッピングモールという当時得体の知れないものに出店してもらおうと言うのだから、熱意を感じてもらうしかない。三木谷さんは(ちょっとずるいかもと前置きしながら)わざわざ100メートル手前から暑い夏の日にもダッシュで店の前まで行き、汗をかいて息を切らせながら商談したらしい。IT会社の社長が、である。 これも最後は「熱意」というものの重要さ、効率化すべきところと効率化すべきでないところを分かっている例だ。飛行機で飛んでいって、タクシーに乗って近くまで行ったとしても、最後は「100メートルダッシュ」である。裏ではとことん効率化しつつも、最後の「顧客との接点」では決して手を抜いてはいけないという例である。 という三木谷さんの逸話を当社の某シニア技術コンサルタントにしたら、「それは僕も、遅くなって妻に叱られそうな時はよくやってます」と言われた。その通り、奥さんに対して出来ることは、郵送なんて手抜きをせずに顧客に対しても出来ますよね。

両目で皿を見て食事できる贅沢

カテゴリー: 経営日記

先日USTREAMで公開されていたソフトバンクの孫社長の講演を半分くらい観た.ダウンロードしてあるので,また何度かゆっくりと観たいと思っている. 毀誉褒貶はあるとは思うが,そのスケールの大きさは誰も否定できないだろう.藁しべ長者ではないけれど,人生において5度位,それまで持てるものを総て賭けて人生の勝負に出ている(そして総て勝っている). 一度目の勝負は16歳で渡米した時.高校の一学期を終えて司馬遼太郎の書いた「竜馬が行く」を読み,高校を退学してほぼ無一文で渡米している.先生がどうしてもなら休学して行けと言われたのに何故退学したかというと,「退路を絶たないと自分の様な弱い人間は帰ってきてしまうから」だそうだ. アメリカで猛勉強して大学に進み,一日5分の発明タイムを使って最初は1年で1000万円儲けようと思ったらしい.学生が一日5分で一千万,人からは当然クレイジーだと笑われたそうだが,実際は一年間で250の発明を考え,その中から一件はシャープに売却したパソコンの走りの様な機器,もう一件はゲームソフトで3億数1千万を手にした. それから日本に帰ってきて会社を作り,資本金全額をつぎ込んで名乗りを上げるためだけに展示会に出展した.社員はアルバイト2名の時である.そこで大手家電量販店の目に留まり,1年後には30億円の売り上げになった. それからまた持てる資金全部と借金でアメリカのコンピューター見本市を開催する会社を買収したり,コンピューター関係の会社を買収したり,その時にかき集められるだけの金額総て,実力以上の買収を何度も行っている.極めつけはボーダフォンの買収で,ソフトバンクの時価総額を遥かに上回る2兆円で,ほぼ全額借金で手にしたことである. ラスベガスのカジノで,持てるだけを総て一つの目に賭ける様なことを連続で行って総て当てたような話だが,彼曰く,「志は一度も変えていない」と言うことだ. 講演の最初の方でアメリカ留学時代の話が出た.誰にも負けない努力をしましたという話だが,講義は最前列の真ん中で食い入るように見つめ,片時も教科書を話さなかったという.食事の時も左手に本,右手にフォークを握って,両目は本を見つめている.右目の端に映る皿にフォークを突き立て,何か刺さったものを口に入れる.そのときのことを彼は,「両目で皿を見て食事できるような贅沢は僕にはありませんでした」と述懐している. なんとも凄い話だけど,稲盛さんにしても「事を成す」人は誰でも同じような努力をしているものだ.時間は同じ24時間,体力も2倍もある訳でない,とするとその誰でも同じ所与の条件で普通の人の数千倍の結果を残そうとすれば,自ずと最低でも「誰にも負けない努力」が必要になるのだ. 彼はまたこうも言っていた.「登る山を決めれば,目的の半分は達成されている.」 何を目指すか,どういう志を持つか,これが人生で一番大切なことだ. 当社もそろそろ勝負の時に来ている.志を大切にし,どうせやるなら「誰にも負けない努力」をして社会のためになりたい.また毎日,新鮮な気持ちで頑張ることにしよう.

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