社長ブログ

社長フィロソフィー日記

消費者は騙せない

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先日の渋澤渡米団で訪問した中で,IBMの副社長にも面談した.彼がIBMの企業姿勢を説明する中で,次の様なエピソードを紹介してくれた.

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ハドソン川に不時着したUSエアウェイズの話は覚えていらっしゃるだろう.あの飛行機が不時着したその時,USエアウェイズ本社では役員会が行われていた.

その会議の最中,会長の秘書が入ってきて,「会長,お孫さんからお電話です」と言うのだ.会長が電話に出ると,孫娘が「おじいちゃんの会社の飛行機,大変なことになっているわよ」と言いだした.「何を言ってるんだね.私は大事な会議中だから,もう切るよ.また後でね」.

その直後にまた別の秘書が急いで入ってきた.「会長,問題発生です」.

孫娘は,ツイッターを使って友達と情報交換をしていたのだ.不時着を目撃した友人のまた友人,そのまた友人が口コミで情報を広げていた.そのクチコミのスピードの方が,当のUSエアウェイズの役員に届くよりも早かったというエピソードである.

IBMの副社長が言うのに,これだけ情報の伝達スピードが速くなると,企業は消費者をごまかすことはできない.商品がどうこうというより,企業姿勢が問われる時代になっているんだ.それに対応するには,正直に真面目に経営を行うしかない.

IBMほどの大企業でも消費者を騙すことは出来ない.しかも消費者は商品だけでなく,企業そのものを見ている.企業経営者としては厳しい時代だが,非常に真っ当な話でもある.襟を正して,頑張っていきたいと思います.

正しい時に正しい場所に.

カテゴリー: 経営日記

一昨年のリーマンショック後の景気の冷え込みで,にっちもさっちもいかなくなっている企業が沢山ある.先週に来社してもらった,僕の銀行時代の同期から聞いたのだけど,親の後を継いだりしたものの,いくら頑張っても非常に厳しい状況の会社をよく見聞きすると言っていた.

特に今年は自動車関係とか住宅関係,それに設備投資に関する業界が非常に悪い.売上が前年比7割減とかになったら,通常の努力では赤字転落を避けることは出来ないだろう.

ではそのような会社の経営者が無能かと言えばそんなことはない.頭も良くて努力もして,経費もすごく削っているような会社でも駄目なものは駄目なのだ.

一方で時流に乗って,こういう景気下でも非常に調子のよい会社も沢山ある.その様な会社の経営者がでは優秀かと言うとそうでもないことも多い.赤字会社の会社の経営者が優秀でなくて,成長企業の経営者が優秀だとはその人個人を見ていると全然そんなことは言えないと思う.

こういう事例をみると,「正しい時に正しい場所に居る」ことの大切さが分かる.経営者個人が優秀かどうかは余り関係なく,正しいタイミングで成長事業に参入していることが,企業の成長に繋がっているのだと思う.

勿論,時流に「乗る」ためには,「乗る」だけの資格,すなわち競合企業と比べて優れた箇所がなければならない.でも向かい風に歯を食いしばっているのと,追い風を受けて努力するのとは全然効率が違う. 

問題は何が次の「時流」かが分からないことだ.でも少なくとも毎日毎日同じ業務を漫然とやるのではなく,ある種の大局観を持って創意工夫を加えていくべきだと思う.同じことをやるのでも,環境問題のトレンドを考えて廃棄物を出さないやり方を考えるとか,高齢化のトレンドを考えて「使い易さ」を改良したり,切り口は幾らでもある.

当社も目の前の売り上げだけを考えてはいけない.長期的に「正しい時に正しい場所」に居るためには,自社の今のポジショニングを考えて,それを時流に合うように徐々に変えていかねばならない.

そうやって方向性を変えていくことが,実は急に不景気になった時に慌てない最良の方法だと思います. 

 

 

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