人が増えると仕事が増える
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人が仕事を作り出すものだと思う。数人でやっている時はお互いに動きが見えているから、情報共有も自然と出来るし、何かズレがあればその場で打ち合わせをすれば足りる。稟議書も要らないし、敢えて会議を設定しなくても、そこにいる仲間に声を掛ければ事足りる。
これが10人、20人となってくると話がややこしい。その場にいない人も多くなり、なんらかのツールを使わないと情報共有も出来ないし意思決定もやりにくくなる。それでもリーダーがいて、文鎮型の組織でなんでもその人が決めれば物事が進むのなら、それはそれで(リーダーの能力に依存するが)上手くいく。これが100人、200人となってくるとそうはいかない。ボトムアップで決めようにも、担当者は多いし管理者もそれなりにいるし、トップ(または役員会?)の決定に至るためにはいくつもの階層と会議を経て、ようやく決まることになる。
でもっと物事をややこしくするのが、人数が多くなると余計な仕事を作り出される傾向があることだ。すんなり決まるようなことでも、自分の存在意義を示すためなのか、余計なケチをつけたり、あれもこれも検討したり、リスクヘッジに傾き過ぎたりする人が現れる。これらはいわゆる「まともな会社になること」なのかも知れないけれど、「人が増えたので仕事が増えた」ような気がして仕方ない。すんなり決まることはすんなり決めた方が良いし、いろんな人の意見を聞いて結局は決まらない、時期を失するようなことは結局は組織のパフォーマンスを落としてしまう。
例えば何かを入れる袋を購買するようなケース。これはそれを使う人が自分の業務に使いやすいものをネットかなんかで勝手に購買して貰えれば済む。しかし大企業になると、(大袈裟に言うと)「袋選定委員会を立ち上げて現場調査をした方が良いのではないか、そしてそれぞれの用途を分析し、3社見積もりを取って最適な購買先を選定すべきではないか?」と言う意見が出てくる。プロセスをきちんとしましょう、場当たり的なことは良くないという総論はその通りだから、「だったらあの人を委員長にしてやりましょう、委員は各部署から出して毎週打ち合わせをしましょう、討論した結果はレポートにまとめて、役員会に諮りましょう」みたいな話になってしまう。で、結果としては、どうでも良いこと、現場担当者が決めた方が良いようなことでもいちいち話がややこしくなって時間が掛かり、最悪なことに出てきた結果も「使えない」ものになる確率が高い。
人が2倍になると仕事量は3倍になり、それでは回らないから人をもっと採用する、そうするとまた仕事が増えるという、無限ループに陥ってしまう。
と考えると、やはり意思決定は分散型、現場の人が現場リーダーと相談して決めていく、役員や会社のトップはそれをモニタリングして、おかしなことがあればトップ自ら修正していくくらいのことが良いと思う。かつ余計な仕事を考え出す暇がないくらいプロジェクトを立ち上げて、即断即決でやらないと回らないんですというくらいにした方が良い。役職や委員会を作ると間接業務が増えてしまって、「なんとか委員長たるもの、やることがないなどとは言えない、何か生み出さないと」という変なプレッシャーも要らないと思う。
当社は役職は(ほぼ自己申告で)あるにはあるが、間接業務は出来るだけ排除している。情報共有のための仕組み(=システム)をしっかり構築して誰が何をやっているかが公開されていれば(公開であって報告ではない)、あとはトップがくまなくリアルタイムでモニタリングしていれば、大抵の物事はうまく回っていくものだと思う。当社も社員が60人近くなってしまったが、それでも数人の組織のように運営したいと思っています。